ポケモン映画「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」の裏話をご紹介しておきます。
今回は、オペラ座の怪人や喋らないミュウなどです。
以下、完全なネタバレなので、「ミュウツーの逆襲」または、ストーリーが基本的に同じで、CGリメイクされた「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の映画を見た後にどうぞ。
ミュウツーの逆襲、裏話
「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」が、ネットで無料配信されました。
現在、配信は終了しているものの、この無料配信時に、ポケモンアニメの公式ツイッターが、今作の裏話をいくつか投稿していたのでご紹介しておきます。
まず、この映画は、そもそもなぜ「ミュウツーの逆襲」というタイトルなのかが明らかにされています。
これによると、タイトルの「逆襲」という単語は、当時の製作スタッフがタイトル候補を持ち寄って多数決で決めたものになっているそうです。
そして、決まった「逆襲」というタイトルに対して、湯山監督は、「個人的には、ポケモンという『生き物』からの、人間の傲慢さに対する警鐘という意味が込められている」気がするとコメントしています。
また、ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」は、そのタイトル通り、ミュウツーが主役ですが、この声を担当するのが、なぜ市村正親さんという俳優なのかについても明らかにされています。
その理由は、今作の脚本家の首藤剛志さんと湯山監督が、ミュウツーに対して、「オペラ座の怪人」の主人公「ファントム」のイメージを重ねていたからであり、当時、そのファントム役で有名だったのが市村正親さんだったからです。
ちなみに、「ミュウツーの逆襲」において、ミュウツーは、「ここはどこだ…私は誰だ…」といったような印象的なセリフの数々を発しますが、これは、ミュウツー役に市村正親さんが決まってから、市村正親さんをイメージして作られたものになっているそうです。
このため、「市村ミュウツー」だからこそのセリフとして作られており、湯山監督は、「市村さんの深い声がうまくはまって印象的なセリフになりました」とコメントしています。
ミュウツー城とサグラダ・ファミリア
ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」は、後半、ミュウツーの城を舞台に物語が展開されます。
このミュウツーの城は、かなり印象的な建物になっていますが、そのモチーフも明らかにされています。
これによると、ミュウツー城は、スペインのバルセロナにある、いつまで経っても完成しない建物として有名な「サグラダ・ファミリア」をモチーフにしているそうです。
このモチーフにより、壮大で威厳のある建物になり、また、ミュウツーが作ったので、内観を含め全体に有機的な生き物感のある雰囲気に仕上げたとのことです。
そして、ミュウツー城については、その内部に存在する、螺旋(らせん)状の階段についても、モチーフが語られています。
これによると、ミュウツー城の螺旋状の階段は、DNAの螺旋構造を意識したものになっているそうです。
DNAとは、科学の授業で習う「デオキシリボ核酸」のことであり、遺伝子の本体と考えられているものなので、「ミュウツーの逆襲」のテーマや、ミュウツーの誕生に関わって来ると言えるものです。
ミュウが喋らない理由
ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」は、「ミュウ」の映画でもあります。
このミュウは、ミュウツーと異なり、テレパシーなどでも喋らないキャラクターですが、その理由も明らかにされています。
これによると、ミュウが喋らないのは、「ミュウは人間的な感情や利害、倫理観さえ超越しているような…、それゆえに無垢な残酷さもあるような…、人間には理解不能な存在にしたかった」という「こだわり」が理由になっています。
コピーポケモンたちとの戦い
ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」は、終盤、コピーポケモンたちとの戦いが描かれます。
その中で、最も印象的に描かれているのは、戦わない選択をしたピカチュウです。
このシーンについて、湯山監督は、「ピカチュウはポケモンでありながら、サトシとの強い絆があり、本能に突き動かされて戦うとは思えなかった」ため、戦わないという描写にしたとコメントしています。
また、同じくロケット団のニャースも戦わない選択をしていますが、湯山監督は、「ニャースは、性格的にあの戦いに参加するとは思えず、あのように一歩引いた立ち位置で戦いを眺めているようにしました。ポケモン達の本能的な競争心も理解できる、ピカチュウとニャースは、もしかしたら人間であるサトシ達以上に悲しかったかもしれませんね」とコメントしています。
そして、これらのコピーポケモンたちとの戦いのシーンでは、ピカチュウが涙していたりしますが、湯山監督は、このシーンで、「ポケモンも人間と同じように特別な感情を持っている」ということを映像化したかったことを明らかにしています。
さらに、ミュウとミュウツーの戦いを止め、サトシは「サト死」状態になりますが、このような描き方になったのは、熱や物理的な力での破壊ではなく「生命が消えて無機的なモノになってしまった」という意味が込められているからだそうです。
「我ハココニ在リ」へ
ポケモン映画「ミュウツーの逆襲」については、他には、『ウミ』オ、『ソラ』オというゲストキャラクターに続いて登場して来ているのが、なぜ「スイート」なのかについてもコメントされています。
これによると、ウミオ、ソラオと来て、スイートになったのは、「ミュウツーの逆襲」と同時上映の短編映画「ピカチュウのなつやすみ」のナレーションを務める佐藤藍子さんが演じるキャラになったので、「佐藤→さとう→砂糖→甘い→スイート」の連想でこの名前にしたからだそうです。
また、候補として、「シュガー」という名前があったことも明らかにされています。
そして、「ミュウツーの逆襲」は、その後、2000年12月30日に、テレビアニメ特別編「ポケットモンスター ミュウツー! 我ハココニ在リ」という続編が作られることになります。
この「我ハココニ在リ」に登場するミュウツーは、「ミュウツーの逆襲」と同じ個体です。
さらに、2020年11月20日には、テレビアニメ「(2019年スタート版の)ポケットモンスター」の第46話「バトル&ゲット!ミュウツーの復活」で、再び同じ個体が登場して来ることになります。
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