パルワールドのパクリ裁判。株ポケと任天堂の請求が安いので逆に本気を感じる。これは賢い

　株式会社ポケモンの話題をご紹介しておきます。

　話題は、パルワールドのパクリ裁判で、株ポケと任天堂の請求が安いので逆に本気を感じるというものです。

株ポケと任天堂の請求が各500万円

　株式会社ポケモンと任天堂は、「株式会社ポケモン、他社ゲームに関して声明。侵害行為に対しては調査を行った上で対応」の記事でご紹介したように、ポケットペア社が開発、運営している「パルワールド」というゲームに関連した裁判を行っています。

　今回、この裁判内容について、ポケットペア社がコメントを発表しました。

　コメント内容は、株式会社ポケモンと任天堂がどのような主張を行っているのかというものです。

　そして、ポケットペア社は、以下のような内容で訴えられていることが明らかにされています。

パクリ裁判の訴え内容

1. 訴えの内容
　2024年1月19日に当社がリリースした『Palworld / パルワールド』が、原告の保有する以下3件の特許を侵害していると主張し、ゲームの差止め及び当該特許の登録日から本件訴訟の提起日までの間に生じた損害の一部を損害賠償として求めるものです。

2. 対象特許
　・特許第7545191号 特許出願日: 2024年7月30日 特許登録日: 2024年8月27日
　・特許第7493117号 特許出願日: 2024年2月26日 特許登録日: 2024年5月22日
　・特許第7528390号 特許出願日: 2024年3月5日 特許登録日: 2024年7月26日

3. 請求の概要
　・『Palworld / パルワールド』の差止め
　・株式会社ポケモンに対する500万円及び遅延損害金の支払い
　・任天堂株式会社に対する500万円及び遅延損害金の支払い

　よって、株ポケと任天堂は、パルワールド（ポケットペア）を訴えたということは発表していましたが、具体的な内容は明らかにされていなかったので、今回の発表でその内容が判明したということです。

　今回の株ポケと任天堂の損害賠償の要求は、各500万円であり、安いとも言えるものになっています。

　例えば、任天堂とコロプラの特許関連の裁判では、「任天堂とコロプラの裁判に続報。損害賠償の請求金額が49.5億円に増える」、「任天堂とコロプラの裁判、96.99億円に請求額が増える。約2か月でほぼ倍に」というような状況になっていました。

　そして、最終的に「コロプラ、任天堂と33億円の支払いで和解。あれだけ強気だったのに…」の記事のように、33億円の支払いで裁判が終了しています。

　このため、パルワールドは最低でも692億円は稼いだと言われているので、賠償賠償の請求の額は100億円を超えていても何ら不思議ではないものです。

　しかし、前述のように、実際には各500万円、計1000万円だけです。

　これなら、最低でも692億円は稼いでいるので、そこから考えると「はした金」の1000万円を支払えばポケットペアの大儲けが確定できるとも言えます。

　ただ、今回の株ポケと任天堂の裁判は、金銭的な要求ではなく、「『Palworld / パルワールド』の差止め」の方を重視していると考えられます。

　つまり、ポケモンのパクリゲーム自体を消せと要求しているということです。

　よって、この要求がある限り、ポケットペアはいくら支払っても許してもらえない状態になっています。

　そして、金で解決する気はないという表れでもある、株ポケと任天堂の請求が各500万円と安いという部分に逆に本気を感じることが出来ます。

　ちなみに、株ポケと任天堂が、実際にパルワールドを消滅させることが出来るかどうかは不明です。

　また、最終的には、ポケットペアが金銭的な支払いを行って和解という形で終わる可能性も高くなっています。

　しかし、株ポケと任天堂は、ポケモンのパクリデザインのモンスターを1匹でも残した状態で和解するはずはないと思われます。

　もしそうなら、多くのポケモンファンは非常にガッカリすることになり、ポケモンや任天堂キャラのデザインをパクって炎上的に話題になり、裁判の和解金を差し引いても100億円単位の大儲けが出来るという「炎上商法」が確立してしまうことにもなります。

　そして、これが株ポケと任天堂の賢い戦略でもある感じですが、裁判で白黒つけるのが難しいとも言われている「デザインをパクっているから消せ」という訴えではなく、特許で訴えて、その交渉の過程でデザインのパクリなどを認めさせ、最終的な和解で、当初求めていたものとは異なる数百億円以上のそれなりに莫大な和解金と共に、パクリデザインを一掃させる戦術にしている可能性があります。

　なお、今回の内容は株ポケと任天堂の側に立ったものであり、その立場で一番望ましい裁判の終わり方を妄想したものです。

　そして、実際の裁判では、株ポケと任天堂がボロ負けして終わる可能性も普通にあるということは最後に書いておきましょう。